一住所あたり2枚の布マスクの配布と申請制の現金支給が、この数日でメディアやSNSで話題になっている。
その論調は様々だが、気になるのは政府がまるでこれらの施策しか打っていないかのような批判が散見されること。マスメディアがこうした論調で政府を批判するのは、不勉強か視野狭窄か、いずれにせよ褒められたものでは無い。一方で、政府が今までに打ち出してきた施策が、世間一般に十分に周知されておらず、こうした施策を利用できる人たちにも情報が行き渡っていないということも事実としてあるだろう。救済策はあるのだが、それを必要としている人たちがそれを利用できないのでは、制度は無いにも等しい。
本来であれば政府がそうした制度を十分に周知できれば良いのだが、この緊急事態に十分に対応できていないというのも致し方ないであろう。また、マスメディアは、こうした「伝えるべき相手に伝わっていない情報」を伝えていく役割を担っているはず。これができていないから、まるで政府が何もしていないかのような誤解を生み出してしまうし、世論をミスリードし、不健全な議論と政策の歪みを生じてしまうことになる。
初めてと言っても良い社会的危機に際し、マスメディアは本来の役割を発揮し、「伝えるべき相手に伝わっていない情報」を積極的に伝えて欲しい。
例えば経済産業省は「新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ」と題し、自らが所管する施策を解説する資料を公開している(定期的にアップデートされており、現時点では4月2日10:00に更新されている)。
厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症について」とのページで、ホームページ上で情報発信している(感染症対策と雇用関係の救済制度などが羅列されており、非常に見辛い)。
こうした情報を、テレビであればワイドショーや報道番組の際に、画面のサイドや上部、下部にテロップ的に流すことで周知することもできるのではないだろうか。探しに行かなければ見つけられない情報を、何気無しに視聴した際に触れることができるようにするのは、マスメディアだからこそできる術であろう。こうした取り組みを期待したい。
(KEY CHEESE 編集部)