専門家会議、「新しい生活様式」を提言〜新型コロナウイルス感染症対策は新たなフェーズへ〜

専門家会議、「新しい生活様式」を提言〜新型コロナウイルス感染症対策は新たなフェーズへ〜

 5月4日に政府の新型コロナ対策にかかる専門家会議が提言した「新しい生活様式」が話題となっている。その内容についてもさることながら、「これは専門家会議の守備範囲を超えているのではないか」「ここまで指示されなくてはならないのか」といった、専門家会議がこうした事柄を提言する行為に対する否定的な意見も見受けられる。
 感情的には箸の上げ下ろしまで指示されたくはない、という気持ちを持つ方がいるのもわからないでもないが、一方で、「三密を避ける」という指針が「曖昧だ」「わかりにくい」と批判されたり、また解釈にばらつきがあったことも事実。そして実際に「人との接触を8割減らす」という目標が達成しきれていない現状があり、より感染拡大防止に資する具体例が示されたことは、無駄ではないだろう。

 新たな生活様式で示されている内容は、実はほぼ今まで専門家会議が示してきた内容について具体例を示したものであり、従来の方策を大幅に変えたというものではない。寧ろ「新たな」「生活様式」と位置付けたことに大きな意味があるのではないだろうか。感染拡大防止のための対策が、実はそのまま新しい生活様式になる、ということだ。
 我が国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の基本的な方針は、「感染のピークを抑えて先送りすることで、医療提供体制のキャパシティを超えてしまうことを避け医療崩壊を食い止めることにより、感染者が必要な医療を受けられずに命を落とすことを回避すること」にあった。つまり、もともと長期戦を見据えていたのである。
 この長期戦は、COVID-19が新型インフルエンザと同様に、特別な感染症では無くなるまで続く。感染拡大対策を講じながら、経済も回していかなければいけない。感染拡大対策を織り込みながら、日常生活に戻していくことが必要であり、そのための日常生活が、すなわち「新しい生活様式」に他ならない。

 新型コロナウイルス感染症対策は、まさに新しいフェーズに突入し始めている。緊急事態宣言による様々な活動自粛を徹底するフェーズから、感染拡大対策を続けながら活動を徐々に再開していくフェーズへ。
 専門家会議の提示した「新しい生活様式」を「日常の生活様式」として継続し、定着させていく段階になったと受け止めたい。

(KEY CHEESE 編集部)

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